2008年10月 / 09月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

2006.06.11 (Sun)

久万高原《樹の音コンサート》

夜の美術館土曜日の夜、久万美術館に行ってきた。通常は午後5時で閉館なのだが、この日は、一旦5時でクローズして、午後6時に再開館した。とても珍しいのことだ。実は「森からの贈り物 はざた雅子カンテレコンサート」というギャラリーコンサートが開催されたのだ。梅雨入りしたばかりだが、土曜日は晴れ。三坂峠への夕間暮れのドライブはなかなか快適だった。


カンテレ1カンテレというのはフィンランドの民族楽器。日本では、日本ではただ一人のカンテラ奏者らしい。このはざた雅子さん、愛媛県伊予市なのだ。なんでも30歳を前にフィンランド旅行中に出会ったこの楽器の音色に心惹かれ、「これこそ自分が求めていた音だ」と思ったそうだ。その後日本で独学で勉強したが、もっとうまくなりたいとの思いから、一念発起してフィンランドへ留学。結局6年半滞在したそうだ。なかなかできることではない。現在は活動の拠点を東京に移している。2000年にはあのオカリナ奏者宗次郎さんとも共演したそうだ。



カンテレ2これが実際に演奏に使われたカンテレという楽器。翼型の共鳴箱に減を張ったもので、弦は5本から39本。5本弦のものも持参されていてみせていただいたが、膝にのるくらいの大きさで、女性が片手で持てるくらいの小さなものだった。5弦のものは1本の木をくりぬいて作っているらしい。こちらは38弦のもので、このように机の上において演奏する。日本の琴のような感じだ。当然ながら弦の本数が多いほど音域が広く、複雑な曲も演奏できるということだ(そういう点ではピアノと同じ)。音色は、オルゴールのようでもあり、ハープや琴のようでもある。


【More・・・】

カンテレ3手前のレバーを倒すと半音階の音が出る仕組み。小指を除く両手8本で弾く。その間に、このレバーを倒したり起こしたりするので、かなり忙しい。しかし、音はさすが弦楽器。非常に張りがあり、膨らみがあり、広がってゆく感じで、弦を爪弾いたあとの指が離れても、音が長く残る。まさに余韻を楽しむ楽器だ。雅子さんの滑らかな指の動きにしばし見とれ、その美しい音に聞き入った。


♪プログラム♪
(第一部)
 1.プレリュード(はざた雅子)
 2.静かな朝(はざた雅子)
 3.コネヴィストの教会の鐘(フィンランド民謡)
 4.いつも何度でも(木村弓)
 5.白夜(フィンランド民謡)
 6.極夜(はざた雅子)
 7.オーロラ(はざた雅子)
 8.カレリアの丘(フィンランド民謡)
 9.赤とんぼ(山田耕作)

(第二部)
 1.グリーン・スリーブス(イギリス民謡)
 2・予感(はざた雅子)
 3・小さなカンテレ(カレワラより)
 4.カレワラの歌(カレワラの調べ)
 5.エン・エツィ・ヴァルタ(シベリウス)
 6.優しく響けわが哀しみの歌(メリカント)
 7.フィンランディア讃歌(シベリウス)

(アンコール)
 1.雪の上の足跡
 2.ふるさと



単に演奏するだけでなく、曲と曲の間に、フィンランドでの思い出や演奏曲について、丁寧な説明をしていただき、大変わかりやすかった。

カレリアというのは、ロシアとの国境地帯。第二次世界大戦後、ロシアはカレリアの地を要求した。そこに住んでいたフィンランド人は、「残りたければロシア人になれ。フィンランド人でいたければ、カレリアを去れ。」という究極の選択を迫られ、泣く泣く故郷を後にしたそうだ。雅子さんが下宿していた大家さんも、カレリア出身だったそうで、彼女はそんな歴史のことも何も知らず、練習曲としてこの曲を弾いていたら、大家さんが部屋にやってきて「これは私のふるさとの曲。弾いてくれてありがとう。」と言って、悲しい記憶を話してくれたそうだ。

日本を離れて6年半、フィンランドという国に違和感なく溶け込んだそうだが、それでも、彼女がかの地で感じたことは、「自分は日本人なのだ」ということだったそうだ。それは時間の経過と共により強くなっていったそうだ。「カレリアの丘」を弾くとき、彼女はその後いつも「赤とんぼ」を弾きたくなるそうだ。今回もそのようなプログラムだった。

また、アンコールには「ふるさと」を弾いてくれた。フィンランドの歴史背景を聞いたあとで聴いた「ふるさと」の曲は万感胸にこみあげるものものがあり自然と涙が流れた。本当に美しい音だった。


それにしても、30歳から一念発起で、本当にこんなに上手くなる(プロになる)もんだろうか?カンテレ自体がすごく進化していて(弦が5本だったものが39本までになり)、今は楽譜もあるので、「指が動いて、楽譜が読めるかたなら、どなたでも弾けますよ」と雅子さんはおっしゃったが、そんな生易しいもんじゃないだろう。・・・いえいえ、雅子さんのプロフィールを知ってびっくり&納得。彼女、小さい頃から琴やピアノを習っていて、琴は名取の腕前だったそうだ。・・・だよね。でなけりゃ、こんなに弾きこなすことなんてできないだろう。それにしても、「出会い」とは本当に不思議だ。もし、彼女がフィンランドに旅行しなければ、カンテレのことは知らなかったし、彼女がカンテレ奏者になることもなかっただろう。


CDこれは会場で販売されていた雅子さんのCD。サイン入り。赤の方は、フィンランド民謡や誰もがよく知っているクラシックの名曲。青の方は、雅子さんのオリジナル曲。どちらも素晴らしい癒しの音。雅子さんの「極夜」が私のお気に入り。ちなみに「極夜」というのは、「白夜」の反対。1日のうち太陽が昇る時間がほとんどない状態のこと。長い冬、寒い冬でも、フィンランドの人たちは、そんな時間のすごし方、楽しみ方を見出しているそうだ。長くロシアやスウェーデンの支配下にあった歴史背景もあり、フィンランド人はとても辛抱強いそうだ。特に女性がたくましく、よく働くと言っていた。内に闘志(シス)を燃やしている民族だそうだ。


最後に、はざた雅子さんってこんな人です。

(おまけ)
そういえば、ここ一年くらい、私はフィンランドには縁がある。2005年秋 「北欧のスタイリッシュ・デザイン〜フィンランドのアラビア窯」展を皮切りに、2006年1月映画「ヘイフラワーとキルトシュー」、そしてつい最近も映画「かもめ食堂」を見ている。なんだろう、これって。そういう巡りに入っているのだろうか。(笑)

フィンランド人曰く「フィンランドは日本の隣の隣の国」だそうだ。そういえば、日本から一番近いヨーロッパ(10時間)でもある。行ってみようかな。


EDIT  |  22:22  |  MUSIC  |  TB(0)  |  CM(4)  |  Top↑

Comment

♪メリッサさん

はじめまして。
あのコンサート、もう2年も前のことなのですね。
今でも深く心に刻まれているコンサートです。
素敵なイベントを開催していただき、ありがとう
ございました。
私も長く松山におりましたが、去年の7月に
つくばに引っ越してきました。
久万高原はとても懐かしい私の心の故郷の
ような場所です。


リセ |  2008.05.29(木) 01:40 |  URL |  【コメント編集】

♪始めまして

随分前の記事のようですが、
実は私はこのイベントの主催者の一人です。
6月1日に、このイベントを応援してくださった
伊部剛氏の追悼コンサートがあるので
その件でネット検索をしていて
このブログにヒットしました。
松山在住なので、準備や打ち合わせが大変でしたが
喜んでいただけて本当に嬉しいです。
はざたさんも、とても気持ちよく演奏できたと
帰りの車の中で喜んでおられました。
メリッサ |  2008.05.28(水) 10:52 |  URL |  【コメント編集】

♪hironoさん

とっても素敵なギャラリーコンサートでした。
私も初めて見聞きした楽器です。
そして「極夜」という言葉も初めて知りました。
リセ |  2006.06.13(火) 00:05 |  URL |  【コメント編集】

なんだか素敵な演奏会だったみたいですね。
はじめて知った楽器です。
「極夜」という言葉もはじめて知りました。
hirono |  2006.06.12(月) 21:32 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示
 

Trackback

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | BLOGTOP |