
光は影によってより存在感を示す
成功した天才ピカソと不遇の名手モディのように
早くから世に出て天寿を全うしたピカソと
貧しく売れない夭折の画家モディ
次々と絵のスタイルを変えていったピカソと
デフォルメされた面長の人物画を描き続けたモディ
ずんぐりむっくりで傲慢なピカソと
モデルのようにハンサムで優柔不断のモディ
生き方も描き方も愛し方もなにもかもが正反対
そんな二人にも共通点がある
芸術に囚われた魂と自らの作品に対するプライド
ラテンの香りと根っからの女たらし
反目し合いながら互いを認め合っている
嫌悪しながら心底憎むことはできない関係
ジェラシーとコンプレックス
決して混ざり合うことのない油と水
ピカソは光 モディは影
ピカソは油 モディは水
☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡東京では7月に封切されたこの映画。全国各地でもここ愛媛に一番最後にやってきました。しかも年末年始の休暇をはさんでわずかに上映期間は10日間という短期間。しかも1日にたった2回の上映。今日を逃したらおそらく見逃していまう・・・と思って、超ハードスケジュールながら土曜日に行ってきました。
前夜、夜更かししたため途中で少し睡魔に襲われましたが、後半になるにつれて、サスペンスのようにスリリングな展開となり、どんどん引き込まれていきました。特に、クライマックスで画家たちがコンペに出展する絵を描いている光景は鬼気迫るものがありました。画家たちがどんな絵を描いたのかは最後の最後まで明かされない。じらされてじらされて見せられた絵はどれも画家の特徴を表したいい絵でした。
この映画のテーマは、モディとピカソの芸術の闘争だけではありません。モディとジャンヌの悲恋、むしろこちらがメインテーマ。ひたすらにモディを愛し、彼のためだけに自分の人生を捧げ散っていったジャンヌ。1歳になる娘を持ち、お腹に9ヶ月児を宿しながら、彼女は最期まで女として生きたのです。死を前にした彼女の眼は何を見ていたのでしょうか。
彼は生涯にジャンヌの絵を20点以上描いたそうですが、その瞳はいつも空(くう)を見ているよう。「
本当の君が見えたら、その瞳を描こう」と言ったモディ。彼がコンペのために描いたジャンヌの瞳はしっかりとモディを見つめていました。その絵が彼の遺作となりました。
☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡この映画は、冒頭で「事実を元にしたフィクション」という注釈があった。ということは、どこまでがリアルでどこからがフィクションか、私には正直わかりません。いずれにしてもモディとジャンヌの人生は出会った頃からドラマティックで死の匂いがしていました。モディを演じたアンディ・ガルシアも、ジャンヌを演じたエルザ・ジルベルスタインも、はまり役だったように思いますが、その主役の二人を食ったのがピカソ役のオミッド・ジャリリという俳優。憎たらしいくらいふてぶてしくて傲慢なピカソを演じていました。
★愛し合ふ男と女はその胸に狂気を抱いて今宵も眠る
★闇に棲む天使もゐれば気の弱い悪魔もゐるさ我の中にも
★「選ばない生き方それが優しさ」と君は言ふけど腐つた林檎